ハエトリグモを観察していると、普段見かける姿だけでは分からない行動に出会うことがあります。
以前、ハエトリグモがコオロギを捕食する様子を観察しました。その後もしばらく様子を見ていたところ、ある日、ハエトリグモがドーム状の巣のようなものを作り始めました。
ハエトリグモは、網を張って獲物を待つタイプのクモではありません。なので、最初は「なぜ巣のようなものを作っているのだろう?」と不思議に感じました。
しばらく観察していると、そのドーム状の巣の中に黄色っぽい袋のようなものを確認できました。おそらく、これはクモの卵が入った卵嚢だったのだと思います。
この記事では、ハエトリグモがドーム状の巣を作り、その中に卵嚢のようなものを確認した観察記録をまとめます。
この記事は、筆者が過去に観察したハエトリグモの記録です。
身近な生き物を観察する場合は、必要以上に触ったり、環境を大きく変えたりせず、できるだけ負担をかけないようにしましょう。
観察後は、生き物の状態や環境に配慮することが大切です。
・ハエトリグモが作ったドーム状の巣の様子
・徘徊性のクモでも糸を使うこと
・卵嚢とは何か
・ハエトリグモの産卵・卵嚢観察の記録
・身近な生き物を観察する面白さ
ハエトリグモの卵嚢を観察したきっかけ
今回観察していたハエトリグモは、以前の記事で紹介した捕食観察のあとも、しばらく飼育容器の中で様子を見ていた個体です。
捕食の様子を観察した数日後、ハエトリグモが突然、糸を使ってドーム状の巣のようなものを作り始めました。
ハエトリグモは、ジョロウグモのように大きな網を張って獲物を待つタイプではありません。そのため、最初は「徘徊性のクモなのに、こんなにしっかりした巣を作るのか」と驚きました。
ただ、観察していくと、その巣は獲物を捕まえるためというより、身を隠したり、大切なものを守ったりするための空間のように見えました。
前回の捕食観察はこちらです。

ケロちゃメモ
ハエトリグモは網で獲物を待つタイプではないが、糸を使わないわけではないんじゃ。休む場所や卵を守る場所にも、糸が関わるんじゃケロ。
ハエトリグモはどんなクモ?
クモといっても、暮らし方はさまざまです。
たとえば、ジョロウグモのように網を張って獲物を待つクモもいれば、ハエトリグモのように歩き回って獲物を探すクモもいます。
ハエトリグモは、一般的には徘徊性のクモとして知られています。網にかかった獲物を待つのではなく、自分で獲物を見つけ、距離を測るように近づき、タイミングを見て飛びつきます。
ただし、徘徊性だからといって、糸を使わないわけではありません。移動時の命綱のように使ったり、休む場所を作ったり、今回のように卵嚢を守るための空間を作ったりすることがあります。
クモの呼吸器官「書肺」について
クモには、書肺と呼ばれる呼吸器官があります。名前の通り、薄い板が重なった本のページのような構造をしていることから、書肺と呼ばれます。
大学時代にクモについて本を読んでいたとき、この書肺という器官に強く興味を持ったことを覚えています。

今回の記事の主題は卵嚢の観察ですが、ハエトリグモをじっくり見ていると、捕食だけでなく、体のつくりや暮らし方にも興味が広がっていきます。
ドーム状の巣を作り始めた
ある日、観察していたハエトリグモが、糸を何層にも重ねるようにして、ドーム状の巣を作り始めました。
最初は薄く糸が張られている程度でしたが、時間が経つにつれて少しずつ厚みが増し、中にこもれるような空間になっていきました。
見た目としては、ドームというより、小さな「かまくら」のようにも見えます。自分が入れる空間を残しながら、糸を重ねて形を作っているようでした。
ハエトリグモは網で獲物を捕るクモではないため、こうしたしっかりした空間を作る様子には驚かされました。
この時点では、なぜこのような巣を作っているのか分かりませんでした。ただ、数日観察していると、その理由らしきものが見えてきました。
ドーム状の巣の中に卵嚢を確認
ドーム状の巣ができたあと、ハエトリグモはしばらくその中にこもっていました。
何をしているのか気になって観察を続けていると、巣の中に黄色っぽい袋のようなものが確認できました。
最初は何か分からなかったのですが、しばらく考えてみると、これはクモの卵が入った卵嚢ではないかと思いました。
写真では少し見づらいですが、ドーム状の巣の中に黄色っぽいものがあるのが確認できます。

ケロちゃメモ
卵嚢は、卵を守るための大事な袋のようなものじゃ。小さなクモでも、命を守る工夫が詰まっておるんじゃ。
卵嚢とは?クモの卵が入った袋のようなもの
クモの卵は、むき出しで置かれるのではなく、糸で包まれた袋のようなものにまとめられることがあります。
この卵を包んだ袋のようなものを、卵嚢と呼びます。
卵嚢は、外からの刺激や乾燥などから卵を守るための大切な構造だと考えられます。今回観察したハエトリグモも、ドーム状の巣の中に卵嚢を作り、その近くにこもっているように見えました。
最初は「出産したのか?」と思いましたが、正確には、卵をまとめた卵嚢を作った、あるいは産卵した状態として見るのが自然だと思います。
こうした行動を見ると、ハエトリグモがただ獲物を捕るだけの生き物ではなく、身を守り、卵を守るために糸を使い分けていることが分かります。
動画で見るハエトリグモの様子
当時は、写真だけでなく動画も撮影していました。
動画では、ドーム状の巣の中にいるハエトリグモの様子を見ることができます。少し長めの動画なので、観察の雰囲気を確認する程度に見ていただければと思います。
動画内に見えるコオロギは、以前の捕食観察で餌として与えていたものです。捕食後の状態として映り込んでいます。
観察して感じたこと
今回の観察で特に印象に残ったのは、ハエトリグモが糸を使って空間を作っていたことです。
ハエトリグモは網を張って獲物を待つタイプではないため、最初は「巣を作る」というイメージがあまりありませんでした。
しかし実際には、休む場所や卵を守る場所として、糸をしっかり使っているように見えました。
また、ドーム状の巣の中に卵嚢らしきものができたことで、ハエトリグモの暮らしの一部を見せてもらったような感覚になりました。
普段、家の中や庭先で見かけるハエトリグモも、じっくり観察すると、捕食、巣作り、卵嚢作りなど、さまざまな行動を見せてくれます。
ケロちゃメモ
身近な生き物でも、じっくり観察すると知らなかった行動が見えてくるんじゃ。小さな発見を記録しておくのは大事じゃケロ。
ハエトリグモをもっと知りたい方へ
ハエトリグモは、よく見ると大きな目や細かな動きがとても魅力的な生き物です。
もっとハエトリグモについて知りたい方には、写真や解説が楽しめる本を読んでみるのもおすすめです。
まとめ
今回は、ハエトリグモがドーム状の巣を作り、その中に卵嚢のようなものを確認した観察記録をまとめました。
ハエトリグモは、網を張って獲物を待つタイプではありませんが、糸を使わないわけではありません。
今回の観察では、糸を何層にも重ねるようにしてドーム状の巣を作り、その中に黄色っぽい卵嚢のようなものを確認できました。
最初は「出産したのか?」と驚きましたが、観察していくと、卵をまとめた卵嚢を作っていたのだと考えるのが自然だと感じました。
身近なハエトリグモでも、じっくり観察すると、捕食だけでなく、巣作りや卵嚢作りといった行動を見ることがあります。
こうした小さな発見を、これからも生き物観察の記録として残していきたいと思います。

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